ISO15189について

 

ISO15189とは?

山梨大学医学部附属病院検査部・輸血細胞治療部ISO活動のご紹介

企業や工場などで“ISO認証取得”や“ISO9001”などの言葉をご覧になった方もおられるかもしれません。この言葉のなかの“ISO”は「International Organization for Standardization」という組織を示す言葉です。日本語では「国際標準化機構」という名称となり本部はスイスにあります。この「国際標準化機構」には世界各国が加盟していて、ここで作成された決まり事(規格と呼んでいます)を「ISO規格」または省略して単に「ISO」と呼んだりしています。

この「ISO規格」は大きく2つに分けられます。1つは「モノ」に対する規格(決まり事)、もう1つは「マネジメントシステム」に対する規格(決まり事)です。1つめの「モノ」に対する規格は、例えば写真の感度などの表示が「ISO400」とされていたり、「ネジ」の大きさの表示などに登場します。この表示が同じであれば、どこのメーカーの製品でも同じ性能、大きさを持つことが一目でわかります。そのほかにも意外なところでは非常口の表示(緑色でドアの外に走っていく絵)もISO規格として決められているものです。

では、もう1つの「マネジメントシステム」とはなんでしょうか。日本適合性認定協会のホームページには「方針及び目標を定め、その目標を達成するために組織を適切に指揮・管理するための仕組み」と書いてあります。少し難しいですが、言い換えると「目標に向かって改善するための仕組み」ということができます。そしてその仕組みを第三者が評価して条件を満たしていると認めた場合、その組織は誰が見てもより良いものやサービスを生み出そうとしていることになります。

例えば、私たちがある製品を選ぶ際、Aという製品とBという製品があったとします。Aは少し高いけれどもISOの認定や認証がされているメーカーの製品、Bは安いけれども特にISOの表示がない製品です。値段だけであれば安いほうがいいに決まっていますが、本当に安心して使えるのはどちらでしょうか? ISOは改善するための仕組みですので、ISOの表示があるAのほうがより安心して使用できる製品だということがわかります。このように消費者やユーザーにとってISOとは製品の選択肢を決めるうえで重要な判断材料となるのです。しかも「International」ですから世界的にも認められたものということになります。

さて、このホームページは山梨大学医学部附属病院検査部・輸血細胞治療部のホームページです。「検査や輸血とISOが関係するのかな?」という疑問を持たれる方がいるかもしれませんが、実は大いに関係があります。非常口の表示もISOで決められていると書きましたが、検査にもISOで決められた規格が存在します。検査の場合は製品に当たるものは「検査データ」になり、その規格は「ISO15189」と呼ばれています。この規格の中には検査を行う部署・組織の運営方法(マネジメントシステム)や実際に検査を行う際に必要な技術的な決め事が書かれています。先のAの製品の例ではありませんが、検査部・輸血細胞治療部が「ISO15189」で認定されているということは、世界的に見ても検査データの結果が正確で安心して使用できるということが認められていることになります。私たち山梨大学医学部附属病院検査部・輸血細胞治療部はこの「ISO15189」に基づいて認定されていますので、胸を張って皆さまに正確な検査データを提供しているということができます。

世界的に認められる「ISO15189」ですが、当然のことながら、認定を受けたり維持をするためにはとても厳しい条件があります。外部の第三者機関から数名の審査員が約1~2年に一度その施設を訪問し、「ISO15189」の規格に決められていることが、きちんと守られているかどうかを外部の目で審査していきます。ここで少しでも不十分なところがあると「不適合」といってダメだしをされてしまい、基本的に一か月以内に改善しなければ認定を取り消されてしまいます。私たちは山梨大学医学部附属病院検査部として第1回目の審査を2013年に受審し認定されました。これは全国の国立大学の中でも早いほうになります。それ以来何度かの厳しい審査を経て、現在は輸血細胞治療部も含めて認定されています。

現代の医療は何をするにもエビデンス(根拠)が求められます。そのような中で、検査部・輸血細胞治療部に所属する医師・臨床検査技師をはじめとする各職員は、採血室での採血や心電図・エコー検査など一部の業務を除いてなかなか皆さまにお会いすることはありませんが、「ISO15189」の認定などを通じて治療のエビデンス(根拠)となるデータを提供するべく臨床検査業務と「ISO15189」の管理業務に全力で向き合っています。そして医師を通じて皆さまの治療に役に立つ正確なデータをお返しするために一致団結して日々努力しています。皆さまの検査データや「ISO15189」などの活動を通して、山梨県の臨床検査のリーダーとしての山梨大学医学部附属病院検査部・輸血細胞治療部にぜひご期待ください。

 

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